上野塾頭の教育論 5

上野

子ども自身が知らず知らずのうちに、無用の緊張状態を作ってしまうことがあります。

「ながら勉強」です。

子供たちの中には、「ラジオを聞きながら勉強した方がはかどる」と言う子がいます。しかし、それは錯覚です。

ラジオを聴きながら勉強をした場合、脳は耳から入ってくる「ラジオの情報」と、目から入ってくる勉強の情報を同時に処理しようとします。言ってみれば脳が「股裂き状態」になるのです。勉強終了後、「たくさん勉強したなあ」という充実感を感じたりしますが、その半分はラジオに取られています。自分が実感するほど学習効果は得られていないのです。ただ、全くの無音状態より、脳の働きを邪魔しない程度の生活音やインストルメンタルの音楽は、脳の働きを活性化させる効果があります。

同様に、深夜学習も避けたいものです。

受験生やテストを間近に控えた生徒に見られる現象ですが、学校から帰ると一度寝て、夜遅くから深夜にかけて勉強する子がいます。深夜の方がはかどるからと言って。

皆さんも、昼間に比べて深夜の方が「時間が経つのが速く」感じることはありませんか。深夜は脳が疲れてくるので働きが鈍くなります。すると効率が落ちるので、1時間に可能な情報の処理量が少なくなってしまいます。たいした量の勉強をしないうちに1時間が経ってしまうので、「もう、こんな時間か。時間が経つのが速いな」と感じます。それを時として充実感と錯覚してしまうのです。

特別な場合を除いて、勉強はできるだけ早く始めて、日付が変わる前には寝るようにした方がはるかに効果的です。